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NME REPORT ~栄養経営士活動報告 Vol.15

食べやすさが一目瞭然の「食事形態一覧表」作成で
家族への説明がスムーズに

特別養護老人ホームふるさとの杜かみのもとに勤務する和多勝弘さん。食事内容の“見える化”で家族の理解を深め、入居者情報のデータ化により自分の手で食べられない人にも早期に栄養ケアを実施できるようになったという和多さんの取り組みを紹介します。

家族への説明、理解が重要な施設だからこその工夫を

ふるさとの杜かみのもと
和多勝弘さん
和多勝弘さん

埼玉県東松山市の特別養護老人ホーム「ふるさとの社 かみのもと」の入居者定員は100名。管理栄養士は2名で、リーダーは副主任の和多勝弘さん。2024年からこちらに勤めていて、栄養経営士の資格は、それ以前の2018年に取得しています。

特養での管理栄養士の仕事は、咀嚼や嚥下機能が低下している人居者に、食べやすい形態の食事を提供し、栄養状態を維持すること。そして、食事については日常のケアの役割を担っている介護職員を含めた多職種や家族とコミュニケーションを保つことです。

施設の食事は、委託業者がクックチルでつくったものを、施設の厨房で入居者個人向けの食べやすさに合うよう、各食事形態に加工をしています。その形態は、咀嚼、嚥下能力に応じて「常食」から「ミキサー食」まで6段階(食事形態一覧表)、水分の「とろみ」については「濃いとろみ」から「極薄とろみ」まで4段階(とろみ一覧表)。そのほか、飲み込みやすいゼリーとジュレがあります。

これらの写真付き一覧表により、入居者のご家族に対してどの形態の食事を選ぶのかを説明する際にも、一目瞭然でコミュニケーションがスムーズになったといいます。

新栄養管理体制切り替えまでの経緯
新栄養管理体制切り替えまでの経緯
「食事形態一覧表」「とろみ一覧表」は日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021を参考に作成


食事の形態を上げる場合は、誤嚥や窒息のリスクがあることを管理栄養士が直接家族にメール等文書で説明し、同意を得られた場合のみ実施しています。和多さんがつくった「食事内容変更フローチャート」を見ると、形態を上げるパターン/下げるパターンともに本人の意向を確認後、介護職、看護職、ケアマネらと協議したうえで、家族に説明することになっており、誤嚥や窒息を防ぐための慎重な対応が読み取れます。また、入退院時の病院との食事情報の交換でも、この表をもとにやりとりすることで、スムーズな情報共有を実現しています。

新栄養管理体制
食事内容変更フローチャート

入居者情報データ化で低栄養リスクの人に早期介入

和多さんがつくったシステムとして、入居者の年齢、体重、身長などから必要なエネルギー量を割り出し、「栄養ケア計画書」と照らし合わせて、体重の推移を見える化したものがあります。これによって低栄養リスクのある人に早期介入できるようになったそうです。現在は2人の管理栄養士を中心にミールラウンドを定期的に行い、低栄養リスクが高い人は2週間ごとに各データをチェックしています。

「栄養ケア計画書」は介護報酬の栄養マネジメント強化加算算定に必要な書類ですが、こちらの施設では2021年度の改定以降、この加算を算定していませんでした。和多さんは、栄養経営士の視点から算定が必須と判断し、施設の方とも相談。要件となる管理栄養士の1名増員を実現させました。これにより、現在は入居者全員が栄養マネジメント強化加算の対象となり、1月当たり約30万円が加算されています。さらに認知症や嚥下機能低下で口から食べることに困難がある人が対象の経口維持加算については入居者のほぼ半分に適用されていて、1月当たり約50万円の加算となっています。

機能的には口から食べることができても、認知症などで自分の手で食事を摂れない人が10人ほどいらっしゃいますが、和多さんらは介護職員の方々とともに食事介助に加わり、咀嚼や嚥下について注意を払っています。自分の手で食べてもらうために、介護用自助具や自助食器の活用もし、スプーンやフォークを握りやすいように柄を太い物や、食材をすくいやすいように食べ口が曲がった物などを使用しています。

また、視覚的にわかりやすいように、主菜副菜を1つの皿にまとめるワンプレートにするという工夫もしています。低栄養リスクのある人については「極力入院にならないように気をつかっている」という和多さん。飲料タイプやゼリー状の栄養補助食品で早期介入することも多いそうです。

最後に和多さんの心に残るエピソードを教えていただきました。以前に勤務した施設で、看取り段階の方に誕生日に合わせて、嚥下に配慮したムース食のケーキをつくり、とても喜ばれたことがあったそうです。「医療や栄養の面は、日々進化するので、栄養経営士は専門知識を生かして活躍できる」という和多さんの一言が印象的でした。
(『ヘルスケア・レストラン』(日本医療企画)2026年4月号より一部改変して掲載。所属・肩書は掲載当時のもの)

【施設概要】

社会福祉法人 一心会特別養護老人ホームふるさとの杜かみのもと

埼玉県東松山市上野本1873-1

ユニット型介護老人福祉施設 10ユニット 100床

URL https://fm-1.issinkai.or.jp/



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