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NME REPORT ~栄養経営士活動報告 Vol.13

育成計画で目標を明確化、教育強化で若手の実践力アップ
チームのモチベーションを高める工夫も

埼玉医科大学国際医療センターで管理栄養士リーダーを務める栄養経営士の菊地宏尚さん。マンツーマンの育成プログラムのもと、NST研修を2年で7名が受講したことで、チームの対応力が急速にアップしたといいます。集中治療室での管理栄養士の配置を1人体制から2人体制に増員し、早期栄養介入業務を強化させた菊地さんの取り組みを紹介します。

スキルアップに挑戦しやすい雰囲気づくりを心掛ける

埼玉医科大学国際医療センター
栄養部課長補佐
菊地宏尚さん
菊地宏尚さん

埼玉医科大学国際医療センターは、756床のがん、心臓病、脳卒中などの救命救急に特化した高度急性期病院。栄養部には非常勤5名を含む管理栄養士21名が所属しており、入院患者の栄養管理、退院前の個人栄養食事指導、外来栄養食事指導、給食の食数管理などを行っています。管理栄養士リーダーを務める菊地宏尚さんは数年前に栄養経営士の資格を取得、2023年にこの病院に赴任しました。20~30代がおよそ9割を占めるという若いメンバーに対して、現場で活かせるスキルを身につけてもらうための教育や後輩の育成に注力しています。

最先端医療を担うこの病院では、集中治療室での早期栄養介入に2名の管理栄養士を日勤で割いています。これを担当するにはNSTで3年の経験を積む必要がありますが、菊地さんの育成プログラムでは、集中治療室の早期栄養介入業務を一つの目標としています。また、個別の栄養指導については、がんが8割、心臓病が2割。がんは、乳がん、大腸がん、胃がん、食道がんとそれぞれに対応した栄養指導を行っており、1~2年目のメンバーへの育成プログラムにも組み込まれています。その効果もあり、個別の栄養指導をできるメンバーが増えたといいます。育成方法はマンツーマンで教えながら業務を進めるOJT型で、NSTは8か月のプログラムになっています。菊地さんの「後輩が先輩の背中を見て育つ」という言葉がこのやり方を象徴しています。

菊地さんが率いる栄養部の皆さん
菊地さんが率いる栄養部の皆さん

これら若手の育成を菊地さんとともに進めているのは、昨年栄養経営士を取得した大室美紀さんです。大室さんはNST専門療養士や病態栄養専門管理栄養士の資格も持っており、若手に資格取得を積極的に勧めています。菊地さんと大室さんが力を入れてきたのは、NSTに入ることのできるメンバーの育成。院内では1年目の終わりから2年目の半ばまでを育成期間としています。院内での育成と並行し、自らの意思で40時間のNST実地修練を受け、昨年は3名、今年は4名がNSTの専任登録メンバーとなり、カバーできる業務が増加しました。2人は「病棟で患者さんや他の職種のスタッフとのコミュニケーションをとることでやりがいを感じ、自分が必要とされていることを実感できるような機会を増やし、チームのモチベーションを上げる雰囲気、環境づくりに心を配っている」と話します。

表 職員の育成計画
1年目 ・管理栄養士業務について学び、一人で行える業務を増やしていく。
2年目 ・2年目終了時に管理栄養士の業務内容のほとんどを一人で行えるようになる。
3年目 ・自己研鑽として研修会への参加、NST修練生として40時間の研修を受講。
4年目 ・管理栄養士業務(食数管理・栄養管理)について若手職員の教育を行うことができる。
・自己研鑽として資格取得など実施。
5年目 ・管理栄養士業務(栄養指導・チーム医療)について若手職員の教育を行うことができる。
・チーム医療の専任業務を実施。研究・学会発表など実施。
6年目 ・管理栄養士業務(NST・ICU業務など)について若手職員の教育を行うことができる。
7年目~ ・若手職員の育成、業務改善への取り組みを実施。
10年目~ ・一定範囲の業務知識を有し、自らも判断業務及び熟練を要する業務を遂行できる。
・一般職員に対し、指導・育成ができる。
・上位者に対し進言できる

データの有効活用で残業時間を大幅に削減

菊地さんが栄養経営士の視点で進めたことには、データの有効活用もあります。退院前の個人栄養食事指導を徹底するために、電子カルテに記載されている指導の要否、退院日などの情報が一目でわかるようシステム改修を依頼。その結果、退院前だけでなく手術入院前の外来時の栄養指導のスケジュールを効率的に組めるようになったそうです。また、以前までは入院患者の栄養管理や栄養指導の件数を手作業で集計していましたが、検索システムを活用することで簡単に集計できるようになり、大幅な残業時間の削減につなげることができました。

さらに入院患者の栄養サポートのわかりやすいマニュアルも作成したという菊地さんは、「経営という視点で現場を見ることができるようになった」と栄養経営士資格取得のメリットを語ります。診療報酬の加算算定との関係では、NSTや早期栄養介入管理などを担当できるメンバーを増やすべく育成に注力するとともに、病棟での活動時間を増やすことでメンバーのモチベーション向上につなげることを両立させることの重要性を強調していました。

患者さんとの関わりについて、大室さんが「食道や胃、大腸の手術後の患者さんは、厳しい食事制限をイメージされるが、実際には食べられるものがあることを説明すると、安心して自宅に帰っていく」というお話が印象的でした。また菊地さんは、退院後数か月経った患者さんから「退院前の栄養指導の内容を今も続けていて、おかげで元気になった」と声をかけられた経験があり、管理栄養士としての役割を果たしていることを実感したそうです。これからのご活躍も期待しています。(『ヘルスケア・レストラン』2026年2月号より一部改変して掲載。所属・肩書は掲載当時のもの)

菊地さんと大室美紀さん
菊地さんと“相棒”の大室美紀さん。ともに栄養経営士でもある

【病院概要】

埼玉医科大学国際医療センター

埼玉県日高市山根1397-1

病床数:756床(高度急性期(一般)756床)

URL https://www.international.saitama-med.ac.jp/



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