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NME REPORT ~栄養経営士活動報告 Vol.14
「病棟担当制」が定着し、GLIM基準導入で栄養指導件数も倍増
川口市立医療センターで臨床栄養科のリーダー的存在として活躍する芳野多香子さん。新しい栄養管理体制をつくるためにGLIM基準を導入し、管理栄養士が病棟で活動しやすい環境の整備を進めています。さまざまな取り組みを通して、多職種との連携の大切さを再認識していると話す芳野さんの取り組みを紹介します。
2021年から病棟担当制をスタート
埼玉県の川口市立医療センターは、13病棟510床の地域で中心的な急性期病院で、臨床栄養科の管理栄養士はパートを含め12名、うち3名が栄養経営士という体制になっています。リーダー的存在の芳野多香子さんは、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士、がん病態専門管理栄養士、診療情報管理士、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格も有しており、幅広いジャンルをカバーしています。
以前は入院患者の栄養管理に明確な指標がありませんでしたが、2024年9月にGLIM基準を導入。これにより、病棟で管理栄養士が患者に関わる機会が増えました。ただそこに至るまでにはいくつかのハードルがありました。特に重要だったのが、病棟業務の中心となる看護師に、いかに栄養管理の重要性を理解してもらうかということでした。
管理栄養士の病棟担当制は2021年から実施しており、カンファレンスに参加することで他職種との交流が増え、患者情報をリアルタイムに共有することが容易になりました。また嚥下関係の資格をもつ芳野さんは院内の摂食嚥下支援チーム立ち上げを主導。副院長でもある看護部長から摂食嚥下支援チームの必要性の理解を得たうえで進めていくなど、着実に人間関係を構築し、信頼を得ていきました。
そのうえで入院時のスクリーニングで低栄養の可能性がある患者を抽出し、早期に栄養介入することの重要性をしっかりと伝えることで、看護部長の栄養管理への理解を得ることができたといいます。2023年から入院時の栄養スクリーニングについては、看護師がMUST(20歳未満はSGA)を使って行い、MUSTの結果が2点以上の患者には、管理栄養士がGLIM基準で低栄養診断を行う体制となりました。
GLIM基準を導入した新たな栄養管理体制がスタート
その後、NSTと栄養科が協力し対面での院内MUST勉強会を実施。主力の看護師さんの参加は難しいとのことで、音声入りのパワーポイントを作成して空き時間に視聴してもらえるようにするなど、理解を深めてもらえるよう丁寧な働きかけを続けた結果、院内の多職種の了承が得られ、2024年9月に晴れてGLIM基準による新栄養管理体制がスタートしました。電子カルテのメーカー変更が、2025年5月に控えていたことも、GLIM基準導入の契機の後押し(追い風)になったそうです。
GLIM基準を導入した新しい栄養管理体制は図のとおりです。この体制になったことで管理栄養士の病棟業務が明確になり、栄養管理が主業務のスタッフ病棟滞在時間は、日に5~6時間へ増えたそうです。さらに、低栄養とがんを中心に栄養指導件数が前年に比べ倍増するという結果になりました。
これまでは低栄養の患者に栄養指導を行っていても、栄養指導料の算定を実施していないケースが多かったのですが、GLIM基準導入で、低栄養患者(栄養指導対象者)が明確になり、算定できるものはしっかりと算定できる体制になったことが大きな要因です。同様に、退院時の栄養情報提供書の作成件数も前年の5倍と飛躍的に増加しました。これらの算定モレのチェックには、栄養経営士の視点が役立っていると芳野さんは話してくれました。
普段からレベルアップに努め、病棟常駐を目指す
臨床栄養科では月1回定例会議と勉強会を開催しています。科内の定例会議では現状の業務のなかで算定につながるものがないか等、新たな業務拡大を検討。科内勉強会では、症例報告に加えて製薬会社や食品メーカーの担当者に来てもらい、薬の最新情報を得たり、経腸栄養剤の理解を深めるように努めているそうです。
科内には栄養経営士の資格を持つメンバーが芳野さん以外に2人いるので、現場の声を伺いました。2人は「病棟に行くと介入が必要そうな患者さんがすぐわかるようになった。他職種の人から『病棟に栄養士さんがいてくれて助かる』と言われるようになった」「食事摂取量の少ない患者さんにも介入できるようになり、安心している」と、それぞれ現在の仕事の充実ぶりを話してくれました。
今後の課題として芳野さんは、「GLIM基準の実施対象をMUST1点の患者へ拡大、病棟担当制は常駐ではないので、ゆくゆくは常駐を目指したい」と話してくれました。今後のさらなる活躍にも期待が持てそうです。
(『ヘルスケア・レストラン』(日本医療企画)2026年3月号より一部改変して掲載。所属・肩書は掲載当時のもの)
【病院概要】
川口市立医療センター
埼玉県川口市西新井宿180
病床数:510床(一般病床:485床/特定病床:救命救急病床8床、新生児特定集中治療室9床、ICU・CCU8床)
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- Vol.12 宮原百々子さん(医療法人財団立川中央病院 臨床栄養科長)
- Vol.11 土屋輝幸さん(医療法人徳洲会武蔵野徳洲会病院 栄養管理室)
- Vol.10 本多千鶴さん(社会医療法人同愛会)
- Vol.9 小林祐貴さん(株式会社日本栄養給食協会栄養部)
- Vol.8 横田綾敦さん(上都賀厚生農業協同組合連合会上都賀総合病院)
- Vol.7 鵜飼真千子さん(医療法人渓仁会手稲家庭医療クリニック)
- Vol.6 畠山朋子さん(社会医療法人社団愛心館 愛心メモリアル病院 食事部栄養課)
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- Vol.4 有坂香澄さん(佐野厚生農業協同組合連合会 佐野厚生総合病院栄養科)
- Vol.3 小澤年充さん(医療法人社団上総会 山之内病院診療技術部栄養課)
- Vol.2 千葉枝里子さん(東京医科大学病院栄養管理科)
- Vol.1 齊藤大蔵さん(社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 海老名総合病院医療技術部栄養科)




