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設立趣旨

(2014年3月7日起草)



 入院患者の多くが70歳代や80歳代の高齢者となっている。その患者の大半に低栄養があり、感染症やサルコペニア、摂食・嚥下障害、循環器系疾患などを合併している。

 現在、日本人の死因の第1位はがんだが、第2位は心疾患、第3位は脳血管疾患であり、腎臓病透析療法の患者と合わせると、こうした循環器系の疾患がもっとも医療コストがかかるとされている。これら医療コストの高い高齢患者の疾患の多くは、肥満や高血圧、脂質異常などの生活習慣病に起因するものであり、適切な栄養管理によって予防することが可能である。したがって、管理栄養士はこうした患者の動向や医療経済をしっかりと認識し、栄養で医療費を抑制していく道を切り拓いていく必要があります。

 しかし、現実には管理栄養士の多くが目の前の食材コストの削減や人件費の抑制などに終始しており、自らの存在意義となる栄養管理のスキルをアウトカムにつなげることなく、日々ルーチン業務に埋没している。これでは栄養管理のプロとしての存在意義を失ってしまうことになる。

 今後、管理栄養士の向かうべき方向は、高齢患者の病態の悪化を予防するための効果的な栄養管理を実践していくことであるが、治療成績の向上のみで終わらせるのではなく、そのアウトカムを抗菌薬や輸液の低減などの経営上のベネフィットにつなげ、施設内や地域において確固たる管理栄養士の立ち位置を確立することである。そのためには、目先のコスト管理ではなく、施設全体の方向性を見据えたうえでのマネジメントを行なっていく必要がある。所属施設が地域の中でどのような役割を担っているのか、その役割を果たすためには管理栄養士として何をしていくべきなのか、そのビジョンをしっかりと掲げ、その実現に向けて栄養部門をマネジメントしていかなければならない。

 目先のコスト管理だけでは管理栄養士の道は開けない。所属部門の中での役割だけではなく、広く地域の中で自分がなすべきことを見据え、その目標達成のためにグローバルコストの観点からリスクとベネフィットをしっかりと評価しながら、目標達成に向けたマネジメントを実践していく必要がある。本協会は現場の管理栄養士に向けて、このマネジメントスキルの習得を目的とした教育を行なう。この教育プログラムの目標の1つが栄養経営士の資格の認定である。栄養経営士が今後の日本の医療・介護を支え、高齢者の明るい未来を切り拓くことを信じて疑わない。

一般社団法人 日本栄養経営実践協会 発起人一同