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栄養経営士をめざして(ヘルスケア・レストラン2014年11月号【日本医療企画 発行】)

マネジメントスキルの研鑽で栄養の明日を切り開こう

宮澤代表理事 秋山副代表理事

秋山:
私たち日本栄養経営実践協会が育成する栄養経営士ですが、これは従来の管理栄養士像という型にはまったものではないと考えています。チーム医療という大きなフィールドの中では、管理栄養士の業務の枠を超えてさまざまなことができます。 各専門職の役割分担ということがよく言われますが、私はあまり関係ないと思っています。1人のメディカルスタッフである管理栄養士が病院の経営戦略を考えてもいいし、病院の哲学を考えたってかまわないのです。 栄養経営士の課程をとおしてさまざまな分野の知識を身に付け、1人の医療人として成長してほしいと思います。管理栄養士という枠にとらわれない自由な発想で活躍すれば、医療制度を変えられるし、この世の中を変えていくことだって不可能ではありません。

秋山副代表理事

宮澤代表理事

宮澤:
私は読者の皆さんと同じ職種なので、よりシビアに考えています。10年後、私たち管理栄養士は医療の世界で果たして生き残っていけているだろうかと。私たちは、医師や看護師よりも医療の世界で不利な立場にあります。それは、診療報酬の単価が安いのはもちろん、看護師と違って管理栄養士の配置が制度で守られていないからです。 100床であっても1000床であっても、管理栄養士は制度上、1人いればいいのです。これでチーム医療をやろうとしても無理というものです。また、管理栄養士は独占業務がありません。医師しかできないことは山ほどあります。看護師でなければできないことも十分あります。

宮澤:
しかし、管理栄養士でなければやってはいけないことは、残念ながら今のところないのです。管理栄養士の配置加算と独占業務の確保、これを10年以内にやらないと恐らく管理栄養士不要論が出てくると思います。 事実、摂食・嚥下の領域で管理栄養士をめぐる状況は極めてシビアです。言語聴覚士や認定看護師らが嚥下機能評価を始めており、口腔内のケアと機能評価を歯科医と歯科衛生士が行なうとなると、あとは調理師が嚥下調整食をつくればいいだけです。 管理栄養士はいらなくなります。この状況がさまざまな病態に拡大すると、管理栄養士は本当に不要な存在となってしまうのです。
栄養経営士はこの危機的な状況を打開し得る総合的なマネジメント力の習得を目的とした教育プログラムです。ぜひともこの課程を多くの方に受講していただき、10年後に管理栄養士として生き残ってほしいと思います。そして、次の世代へ管理栄養士の使命のバトンを渡すためには何をなすべきか、認定された多くの栄養経営士の方と一緒に考えていきたいと思います。

(抜粋:『ヘルスケア・レストラン』2014年11月号[日本医療企画])