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栄養経営士の現場クローズアップシリーズ

Vol.1 名古屋市立大学病院

複数の栄養経営士が在籍し、連携しながら働く病院・施設などが増えてきました。そんな職場で働く栄養経営士たちをピックアップし紹介するのがこの「栄養経営士の現場クローズアップシリーズ」です。

今回は名古屋市立病院診療技術科栄養管理係係長の山田悠史さんと中村吉博さんにお話をうかがいました。

学んだ内容を活かし院内で栄養経営を実践

山田悠史さん
山田悠史さん
中村吉博さん
中村吉博さん

 大学病院として研究・教育といった役割を担うとともに、地域の基幹病院として名古屋市の医療提供体制を支えている名古屋市立大学病院。同院の診療技術科栄養管理係には9名の管理栄養士が在籍、栄養管理係長の山田悠史さんと中村吉博さんの2名が栄養経営士として活躍されています。

 山田さんは外来栄養食指の充実に向けた食道がん患者を対象とする周術期栄養指導外来の設置や、在院日数の短縮等を目指して院内に設置された周術期ケアチームに関われるような働きかけを行うなど、院内で積極的に活動されています。また中村さんも院内で行われていた経腸栄養について、それまで行われていたパックタイプの投与方法からRTH製剤を用いた投与方法への変更を看護師の業務量の見える化等を行いながら実現させるなど、「これぞ栄養経営士」といった取り組みを行っています。


 栄養経営士を取得したきっかけについて、山田さんは「現在、私は係長を務めていますが、役職に就く以前からマネージャー的な役割を与えられていて、経営に関する部分も仕事として振られるような状況になってきていました。そのようなときに栄養経営士という資格ができたと聞いて関心を持ち、勉強してみたいと思いました」と話します。「宮澤靖先生が講師を務める基礎講習を受講した際、『こういうことをやらなければいけないのだ』と実感できたので、そのまま資格取得を決めました。実際に話を聞いてみて、自分自身に必要なスキルだと感じたのが資格取得の一番の理由です」(山田さん)。

 また、中村さんは「経営学についても一般的な知識として学んではいたのですが、管理栄養士に特化したものはありませんでした。栄養経営士という資格を知ったときに、まずは『勉強してみたい』という思いで興味を持ちました」と言います。それで実際に基礎講習を受講したりテキストを読んでみたりしているうちに、面白いと思って資格取得を決めたそうです。


 基礎講習を受講され、試験を受けて資格を取得したお二人ですが、実際の業務において取得前後での変化はあったのでしょうか。山田さんは栄養経営士の勉強をしたからこそ意識できるようになった点について、「病院の経営を考えるということはもちろんですが、お金のことだけを考えるのではなく、『患者さんにとっていいことをして、その結果で経営につなげる』という視点が持てるようになったというのが大きいです」とその効果を話します。

 中村さんも同様に「患者目線で考えることはもちろん大事ですが、経営を無視して赤字になってしまってもよいということではありません。その両方を考えていくことが重要だと思いますし、その視点で考えられるようになったことに意味がありました」と、患者さんにとっても病院にとってもWIN-WINであるのが一番いいという視点を持てたことの重要性を語ります。


 管理栄養士として、目の前の患者さんにベストを尽くしたいというのは当然のこと。そのうえで、それが病院の経営にとってプラスになるのかどうかという視点も持つことで、病院の経営にも貢献できますし、そのことが栄養部門の評価につながり、患者さんにもさらによいサービスが提供できる環境づくりにもつながっていきます。それこそが栄養経営士の目指すところでもあり、それを実践されているお二人はまさに栄養経営士のロールモデルと言えそうです。

他部門多職種との連携が栄養部門活躍のカギに

 病院という組織のなかで、栄養部門としてやりたいことを実現させていくためには、医師をはじめ、他部門との連携も欠かせません。医師との連携について、山田さんは医師ができることを同じようにやっても意味がなく、管理栄養士だからこそできる仕事で結果を出すことが重要と話します。


「例えば食事の内容を考え、そのなかでいかにいいものを選択できるのか、といった部分が自分たち管理栄養士の仕事であると思っています。それができれば、医師のほうでも『自分の仕事をサポートしてくれる存在』だと思ってくれますし、それで実際に成果が出てくればきちんと認めてくれ、医師のほうから依頼してくるようになり、専門職として対等なコミュニケーションが可能になります」(山田さん)


 また多職種や病院全体に対しては、全診療科の医師に加え、事務部、看護部、技術職が集まる院内の委員会で数字に基づいた報告を行うことで必要性を理解してもらい、病院全体で進める体制をつくっているそうです。

 「ただ、そのためには事前の根回しも重要で、医師はもちろんですが事務部門にきちんと話を通しておくことが大事だなと感じています。こちらの思いを伝えるだけでなく、相手の思いも汲み取りながら進めていくという部分も、栄養経営士の資格で学んだことは大きいなと思っています」(山田さん)。


 栄養経営士が同じ職場にいることで、考えたことがすぐに共有できたり、お互いにフォローしたりできることも大きなメリットだと話すお二人。これから取り組んでいきたいこととしては、患者さんに食べてもらわないと意味がないため、病院の栄養士としてきちんと食べてもらえるような働きかけや、低栄養、サルコペニア対策にも関わっていきたいと話してくれました。今後のさらなる活躍に期待しましょう。

診療技術部診療技術科栄養管理係
山田さんを中心に抜群のチームワークで大学病院の栄養部門を支える診療技術部診療技術科栄養管理係のメンバー

【病院概要】

名古屋市立病院

愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1

052-851-5511

URL https://w3hosp.med.nagoya-cu.ac.jp/

診療科目:31科/病床数:800床