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栄養経営実践オンラインセミナー
「部署マネジメントにおける教育の課題」 | 2024年5月

「多様性の時代」に同じ方向に進むための
スタッフ教育を実践しよう

5月29日(水)に協会本部主催、田中智美理事が講師を務めるオンラインセミナー「部署マネジメントにおける教育の課題」が開催されました。部下の育成や新人とのコミュニケーションに悩む中・部門長クラスの栄養経営士・管理栄養士を中心に40人以上が参加、田中理事の経験に基づく講義に聞き入りました。

何を悩んでいるのか最初に整理してみよう

田中理事のセミナーは「教育とは何か?」という問いかけからはじまった。「教育とはただ教えるだけではない、育てることも必要」と語り、「教育について漠然と悩んでいても解決はできない。部署管理としての教育、臨床知識・技術の教育などいくつかあるか、そのなかのどれで悩んでいるのか、まずは自分の頭のなかを整理することが重要」と説いた。

また、昔は労務管理だった部署の運営が今は人材マネジメントへと変わっており、「スタッフがこの病院で働くことが誇らしいと思い、働きがいを感じるような気持ちを育てることが大切。その気持ちが最終的には患者さんに向き、部署のビジョンの実現や目標達成につながる」と説明した。

多様性を受け入れ共通の価値観をつくり同じ方向に進もう

事前質問で多かった悩みが、若い新人への対応である。田中理事は新人によくある特徴・傾向を示し「人と比べない、順位をつけない等、私たちの頃とは違う教育を受けており、失敗や否定を避ける傾向があるのは仕方ない。育ってきた環境が大きく異なっていることをしっかり受け止めて」と話し「それを良い・悪いという価値で判断せず、『そういう人なんだ』と受け止めて欲しい。そうして違いを認め、お互いに理解しあう必要がある」と伝えた。

さらに「年配者は新人への理解を、新人には『あなたたちの常識だけが常識ではないよ』と伝えている」と語り、相互理解と歩み寄りの姿勢が重要だと説明した。

また、多様性を認めることと受け入れることの違いにも触れ、「『自分は自分』で他人と違っても良いが、社会のルールや会社のルールなど、生活するうえでの上位の定義のもとでお互いに認め合うことが大事」だと話し「共通の価値観がなくては、スタッフは多様化してバラバラになってしまう。互いを受け入れ、部署のビジョンや目標など共通の価値観をつくることで、個人の違いはあっても同じ方向に進むことができる」と訴えた。

多様性とルール、価値観
多様性を認めるだけではなくルールや価値観を共有しよう

管理栄養士のラダーをつくり評価を可視化

上司が自分に期待することや評価がわからないというスタッフの不安を解消し、どんな組織にしていくのかという方向性を示すために、田中理事が手探りで作成したのが「管理栄養士クリニカルダラー」である。ラダーはレベル1~5まで用意されており「新人でも中途採用でも、すべてのスタッフが1–1からスタートする」(田中理事)そうだ。

ラダーの内容は給食業務や臨床業務だけでなく、あいさつや就業規則遵守などの職務態度も盛り込み、部署としてどういった人を求めているかがわかるようになっている。

ほかにスタッフの評価表や目標シートなども紹介し、スタッフへフィードバックするときは「本人が○を付けた項目でも責任者の評価が△や×であれば、必ず本人に説明をし、何が足りなかったのかを納得してもらう。指摘は怒られるのではなく、いろいろな考え方を学ぶためだと伝え、面接担当者にはほめる、アドバイスするのバランスが大切だと伝えている」と紹介した。

また、事前質問にあった「マニュアルは必要か」の問いに絶対に必要だと答え、「マニュアルを元に教育を行うが、すべてをマニュアル化できないので総花的内容になる。しかし、マニュアルにないからやらない、わからないとする若い人も多い。そのために、マニュアルの使い方から教える必要がある」とアドバイスした。

わかるからできるへのステップ
「わかる」から「できる」の実践的教育はステップを踏もう

自分の信念を持ち迷わず進んでいこう

スタッフ教育で大切にしていることについて、田中理事は「経験を積ませることが大切だが、大きな失敗で挫折しないよう、小さなことからはじめさせている。踏み出す勇気がない人には一緒に踏み出す・背中を押すようにしている」と語り、スタッフの背中を見守りながら、成功体験を積ませる方法を考えていると話した。

また、相談相手がおらず、ひとりで悩む場合が多い部門長について「誰かひとりでも、部署のなかに思いを共有できる仲間をつくって、ひとりじゃない環境をつくろう。それだけで、飛躍的に部署が成長することもある」と部門長だけで抱え込まないように注意した。

田中理事は最後に「みなさんに『信念は人を強くする』という言葉を贈りたい。信念を持つのは難しいが、信念を持てれば強くなり、迷わず前に進むことができる」と語り、参加者にエールを送りセミナーを終了した。



受講者の声(アンケートより)

今一番悩んでいる内容について、詳細にわかりやすく説明していただき、共感できる内容でした

自分の考えに不足していることが見えたような気がしました。

仕事だけでなく、プライベートでも活用できる内容、考え方であり大変学びになりました。」

まずは相手を認めて、相手の回答と自分の求めているものについてのすり合わせが必必要であると理解できました。

ラダーの資料を実際にみせていただけたうえにデータまでお送りいただけて、大変うれしいです。参考にさせていただきます。

信念を持たれ実践されていることをお聞きできとても勉強になりました。

田中先生の人材育成へのお考えはいつも素敵だなと思っていました。自立自動できる部署にしていきたいです。

さまざまな栄養管理が求められる時代となりました。今度ぜひ29人もの管理栄養士への増員アピールと経営実績を伺いたいです。