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栄養経営実践オンラインセミナー
「病棟配置に向けた部門運営と教育体制構築のポイント」 | 2023年10月

管理栄養士の病棟配置実現に向けた
マネジメントの要諦を学ぶ

10月19日(木)に協会本部主催、西岡心大理事が講師を務めるセミナー「病棟配置に向けた部門運営と教育体制構築のポイント」が開催されました。部門運営、教育体制の構築といったマネジメントに特化した内容にもかかわらず50名を超える管理栄養士が参加、栄養部門の新たな潮流を感じさせました。

管理栄養士の病棟専従体制構築の第一人者が経験からの学びを伝授

セミナー冒頭
西岡理事によるマネジメントの講義に50名以上が参加

冒頭、西岡理事は自身の所属する長崎リハビリテーション病院では2008年の開院当初から病棟専従管理栄養士制度を導入していたとし、「回復期病棟において病棟専従の管理栄養士に何ができるのかという時代から、手探りで栄養部門の構築と教育を進めてきた。病棟配置はゴールではなく、病棟配置になったからこそ厳しい目で見られるようになり、成果が求められることを、身をもって体験してきた。今日はそのような自分の経験談に基づいてお話したい」と語り、講演をスタートさせました。

西岡理事は、まず「病棟配置とは栄養管理のインフラ整備である」と強調。従来のNST加算等におけるチーム専任の管理栄養士に求められる役割と、病棟に配置された管理栄養士の役割は全く異なるとし、「付加価値としての栄養管理ではなく、栄養管理が恒久的に継続して行われる体制をつくるということ。そのうえで栄養管理の質を担保してくことも不可欠であり、管理栄養士の病棟配置をするということはインフラをつくる覚悟が必要だ」と参加者に訴えました。

そして部門長として最初に考えなければならないことは「病棟配置で何を目指すのか」を明確にすることだと指摘。病院が持つ機能、病院の理念、患者層、環境要因等に加えて、現在所属している職員の知識や技術といった「自部門の強み」を正しく認識し、現実的なあるべき栄養管理像を明確にすることが、病棟配置を進めていくための第一歩であると述べました。

継続性と栄養管理の質を担保することがインフラとしての病棟常駐のカナメ

続いて、インフラ整備に向けて必要な「継続性の担保」と「栄養管理の質の担保」について解説しました。

継続性の担保については「業務基準の設定」「人員確保」「人員配置」「環境整備」といった人事・労務面の役割が必要と述べ、栄養部門はそもそも部署の規模が他部署と比べて小さく、職員の流動性も高いため、安定して人員数や質を担保しづらいという現実を認識する必要性を訴えました。

病棟配置のキーワード
病棟配置のキーワードとして「継続性」と「栄養管理の質」の重要性を強調

栄養管理の質の担保においては、「新入職者の教育」「フィードバック体制」「キャリアパス」といった教育体制の構築が求められると話す西岡理事。職員を育てていくうえで大切なのは技術よりもマインドであるとし、「何のために病棟に配置されているのか」「そのために今何をすべきなのか」を理解させることが重要だと説きます。

しかし、マインドはすぐに育つものではなく、また最初から持っている人はなかなかいないとし、「まずは業務を覚えてもらう視点が大事。仕事としてやってもらうなかで、あとからついてくると信じる。いきなりマインドを求めすぎないことが大切だ」と述べました。

病棟専任管理栄養士の資質については、京セラの稲盛和夫氏が提唱する人生の成功の方程式「人生・仕事の結果=能力×熱意×考え方」を病棟に当てはめて解説。西岡理事は、「入職した人の強みをみつけることも教育者の大事な視点。『最初からすべてそろっている人は多くはない』という前提に立ち、入職後のやりがいをいかに伸ばすかという視点を持つことが必要。揺らいでいる職員にしっかり寄り添い、本人が成長に向けた変化を起こせるようなアクションを周囲が起こすことも重要だ」と説きました。

最後に教育体制の実例として、自身の所属する長崎リハビリテーション病院の事例を紹介した西岡理事。実際に使用しているキャリアパスに基づいた段階別の到達イメージや新人教育、担当患者を受け持つようになるまでの流れ等を解説しました。今後の課題として、経験年数を重ねた中堅職員が増えてきているなか、マネジメント経験をどう積ませていくのかを模索しながら進めているという現状を述べ、「教育体制に正解はない。自院・自施設の理念や機能、職員の強みや環境を踏まえて、オンリーワンの体制をつくることが大事」と語り、セミナーを締めくくりました。




参加者の感想より

「部門運営の方向性に迷っていたが、進め方のヒントがたくさんあった。ぜひ実践してみたい」

「病院の機能に応じた栄養士の位置付けを考えていけばよいこと、新人教育の手順について教えていただき、とても勉強になった」

「これまで、栄養管理の型はあるものの、書面によるマニュアルはなく口頭や現場対応から教育を進めてきていた。今回の講義から、継続的な教育体制づくりにはマニュアルの存在も必要だと思った。また、管理栄養士に必要な資質についての「能力×熱意×考え方」の部分では、このイメージを持つことで、自分が理想としている管理栄養士像が言い表しやすいと感じ、とても参考になった」

「自施設と同じ規模の話を聞く機会はなかなかなく、とてもありがたい。もっと掘り下げて聞けるといいなと思った」

「栄養部門の教育体制について具体的に説明があり、わかりやすかった」

「人材教育は課題としていましたが、感覚的な指導となっていた。臨床経験の年数を重ねながらも内容としては自信がないこともあり、育成について悩みながらも実際に行動にいたらない状態だったが、まずは現状を整理して書き出していく所からはじめて、どういったキャリアプランが練り上げられるのかを考えてみたい」

「病棟配置を進めるのにあたり必要なノウハウや教育体制についても学べたので、自施設での位置づけに落とし込んできちんとした体制確立につなげていきたい」

「新人教育体制の作成を求められているところで、現状ゼロベースであり何からどうしたらいいか悩んでいたタイミングで非常にわかりやすい講義を学ばせていいただき大変ありがたかった」