お問い合わせ | 資料請求 |
|
栄養経営士活動報告 01
自作レシピとアレンジメニューで
日本病態栄養学会とJSPENのレシピコンテスト2冠を達成!
医療法人徳洲会 武蔵野徳洲会病院 栄養管理室
土屋輝幸
武蔵野徳洲会病院は2015年に開院し、急性期を中心に、療養や在宅まで幅広く展開している病院である。立ち上げからその栄養管理室に在籍し、副室長を務める栄養経営士の土屋輝幸さんは、2023年の第27回日本病態栄養学会年次学術集会のレシピコンテストで最優秀賞を、第39回日本臨床栄養代謝学会(JSPEN2024)の「第1回患者さんのための見た目にも美味しい病院食コンテスト」の「クックサーブ部門」でグランプリを獲得し、2冠を達成するという偉業を成し遂げた。
上司の教えを心にメニューを作成
レシピコンテストで最優秀に
土屋さんは最初に勤めた病院で、上司から「食べられる治療食でなければ治療食ではない」との教えを受け、それ以来ずっと「患者さんがおいしく食べられる食事」にこだわり続けてきたという。そのため、武蔵野徳洲会病院では特別食でも天丼、かき揚げそばといった変わりご飯や麺類、どんぶりなどが週に何回か提供されるそうだ。
土屋さんが初めて応募したのは前回の日本病態栄養学会のレシピコンテストで、そのときは最終選考に残ることができなかった。そこで受賞したレシピを分析し、次こそはと狙って翌年に応募したのが今回の「一口はんぺんのふわとろチーズグラタン」だった。「高齢者でもつくれるサルコペニア予防メニュー」というテーマに対し、タンパク質を4種使い、食感と食べやすさに重点を置いてつくったグラタンは、自宅で一人、開発したもの。「たとえ栄養素が豊富でも、食べきれなければ意味がない」と考え、分量にもこだわり、何度も試行錯誤した末に、はんぺんを使いふわふわした食感で嚥下もしやすいメニューができあがった。なお、応募の際は勤務先には何も言わず、個人で応募したそうだ。
「エントリーするからには何か結果を出さないと引き下がれない」と思いつくったレシピは見事に最優秀賞を獲得。学会で表彰され、法人グループのSNSにも掲載されるなど、病院の知名度アップにも貢献した。土屋さんに教えを説いた上司は現在、徳洲会栄養部会で部会長を務めていらっしゃるとのことで、教えを守って獲った最優秀賞に「これで少しは恩返しができたかな」と笑顔。
JSPENのコンテストでグランプリを獲ったメニューは、既存の献立のなかから組み合わせて調理師と一緒に作成、応募した。初回での快挙に、担当調理師が大変よろこんだそうだ。
給食管理も行ってこそのマネジメント
土屋さんが所属する武蔵野徳洲会病院では、現在はグループ内、本部機能に給食業務を委託しているが、人員はそのままでこの10月から直営に変更するという。法人全体での決断だというが、土屋さんは「食事提供の正義は、食べられるか食べられないか。突き詰めれば『患者がおいしく食べられるかどうか』であり、それを実現しやすいのはクックサーブだろう」と考えている。現在、朝だけはクックチルを使い、それ以外は完調品もうまく使って折り合いをつけながら、クックサーブで給食を提供している。
外部の委託給食会社に任せるのも選択肢の1つではあるが「根っからの管理栄養士なので、給食も管理して、それでこそマネジメントだと思っている。両立させるのが望ましい姿だし、それを続けたい」と土屋さん。難しいのは承知のうえで、患者に「おいしく食べられる治療食」を提供することを、これからも追及していくそうだ。自分の信念を貫こうとする、土屋さんの今後の活躍に期待したい。